さて、ここまで語ってきたThe White Stripesは前説だ。 今回はその活動の裏でジャック・ホワイトが旧友4人と結成したThe Raconteurs(ザ・ラカンターズ)の話をしたい。
・ボーカル、ギター、シンセサイザー - ジャック・ホワイト Jack White ・ボーカル、ギター、キーボード - ブレンダン・ベンソン Brendan Benson ・ベース - ジャック・ローレンス Jack Lawrence ・ドラム、パーカッション - パトリック・キーラー Patrick Keeler
結成は2005年、ジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンが2人で作曲したことをきっかけにバンドを組むこととなりジャック・ローレンスとパトリック・キーラーを迎え入れ現在の4人編成となった。 The White Stripesの活動期間が1997年〜2011年であるので、ジャック・ホワイトは2つのバンドを並行して活動していた。
The Raconteursが現在までにリリースしているアルバムは2006年の「Broken Boy Soldiers」と2008年の「Consolers of the Lonely」以上2作だ。 結成してすぐはリリースのスパンが短いが、最後のアルバムからはすでに10年の月日が経ち、活動はもう行われないものだと思っていた。
だがここにきてビッグサプライズ、2019年に新アルバムをリリースするとのアナウンスが発表された。 2008年に発売された「Consolers of the Lonely」の10周年を記念してリイシュー盤が発売されることが決定したのだが、その中に新曲が2曲収録されることと同時に発表された新アルバムの話。 どんだけ待たせるんだよ、10年だぞ…となる気持ちは抑えて素直に喜びたい。
The Raconteurs結成のきっかけであり、1stアルバム「Broken Boy Soldiers」のリード曲。 イントロではアタック音を抑えてローの効いた歯切れの良いベースラインが非常に印象的であり、シンプルながらもキレの良いドラミング、ジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンの2人によるギターの掛け合い。 どのパートもシンプルなのだが、その組み合わさりが非常にうまく出来ていてカッコいい。 メロディも特に凝った作りがされていない。 短いフレーズが繰り返されるのだが、その一つ一つが耳に残るので飽きることなく聴き通せる。 本当にシンプルでありながら、どこか古めかしさを感じさせる名曲だ。
2ndアルバムの「Consolers of the Lonely」は暗い印象が強かった前作とは打って変わって、ロック色の強い作品になっている。 前作は全体的な音作りがベースやスネアのアタック音が抑えられていてモコっとした印象であったが、今作ではどちらも変更されて、ロックに合う音になっている。 言ってしまえば今時な音だ。 ツインボーカルとしてジャック・ホワイトとブレンダン・ベンソンが1曲で明確に歌い分けをするようになったのも大きな違いである。 どことなくThe White Stripesらしさ、ジャック・ホワイトらしさが見られ、尖った雰囲気が強いアルバムだ。
この曲は日本でも2005年にビールのCMに起用されたことで耳にしたことのある人も多いかもしれない。 冒頭に流れる気の抜けたエレベーターの音楽とは打って変わって、赤一色に塗られた部屋に黒の衣装に身を包み激しくプレイするイカしたMV。 コメディ要素もばっちり含まれており、俗に言うループもの。 2ndアルバムの「The Colour and the Shape」は1stに比べてよりロック色の強い作品となっており、この「Monkey Wrench」はそれを代表する曲だ。 前作はデイブ・グロール1人で全パートをレコーディングしたが、今作は各パートをメンバーが担当している。 特筆すべきは、ドラマーであるテイラー・ホーキンスじゃないかと思う。 非常にパワフルなドラミングであり、Foo Fightersの骨太ロックサウンドを作り上げているのは彼の存在が大きい。 世界的に有名なドラマーであるデイブ・グロールと同じバンドに在籍するプレッシャーを微塵も感じさせない素晴らしいプレイだ。 デイブ・グロールの後ろでドラムを任されるだけのことはある。
Learn To Fly
見てお分かりの通り、かなりふざけたコメディ感満載のMVである。 まさかあのNirvanaのデイブ・グロールが女装やホモのキャビンアテンダントを演じる日が来るなどと思ってもいなかった。 このMVだけではなく、他の作品もデイブ・グロールが出演し面白い仕立てとなっている。 3rdアルバム「There Is Nothing Left to Lose」に収録されているこの曲は、明るく疾走感があるロックナンバーだ。 飛行機がテーマとなっているMVから連想されるように、「Learn To Fly = 飛び方を覚える」とまるで空を飛んでいるかのような感覚になる。
4thアルバム「One by One」から、突如おふざけ要素一切なしの真面目なロックナンバーを披露してきたFoo Fighters。 観客のいないアリーナで演奏するFoo Fightersのカッコ良さしかない。 どうした、大人になってしまったのか? 大人の事情か? 突然の路線変更に色々と勘ぐってしまったが、「All My Life」という曲は少し暗い雰囲気を漂わせる大人のロックを感じさせる。 それこそ、Nirvanaのグランジサウンドを彷彿とさせる。 個人的に、このアルバムはバラエティに富んだ作品で非常に好きだ。 「All My Life」のような少し暗いながら激しいナンバーもあり、「Times Like These」のような前向きになれる曲も収録されている。
Low
先程、ついにデイブ・グロールが大人になったと書いたが、撤回だ。 同じ4thアルバムからのMVなのだが、なかなかの問題作だ。 「Learn To Fly」で登場したジャック・ブラックと2人で出演しているが、Foo Fighters史上1番ふざけたMVであろう。 いかついおじさん2人(デイブ・グロールとジャック・ブラック)がモーテルでお酒を飲みまくり、暴れ散らし、際どい格好の女装をし、楽しい一夜を過ごす様がホームビデオに収められている。 「次のMVはどんなものを撮ろうか。」と会議になっている中でこの発案を出すには相当に訓練されていないと出来ない芸当だ。 最後の方なんて泥酔して、本気でジャック・ブラック吐いてるよね? こんな光景見せられて好きにならないはずがない。
「Pope = 法王/教皇」という意味を冠した曲名。 SNSにも投稿されていた歌詞の「This world is not real = この世界は本物ではない」という一文はサビで何度も歌われ、強調されている。 断片的に読み取っていくと、死後の世界をテーマとして書かれているように思える。 誰か和訳してくれ、ください。