今までに数多くの猟奇的なMVを世に送り出してきたBring Me The Horizonであるが、2019年5月9日に公開された「mother tongue」のMVはこれまでのイメージを覆してきた。 6thアルバムに収録されているこの曲はBring Me The Horizonとしては異質なくらいラブソングで、アルバムを通して聴くと異様に耳に残る。 まだかまだかと待ち望んでいたけど、リリースから約4ヶ月経って念願のMV公開!
mother tongue
パッと見は男女の初々しい恋愛事情を描いているが、簡単に説明すると恋愛、宇宙、超能力、謎の液体、である。 何のことかさっぱり。 ラブソングをそのままラブシーンにしないのがBring Me The Horizonだ。 宇宙を共通の趣味とする男女が部屋で手を繋ごうすると、女性の超能力が発現。 ポルターガイスト現象のようにそこらじゅうの家具や装飾が宙を舞う中、謎のドロドロとした液体に包まれながらキスをする、というのが観たままの感想。 何のことかさっぱり。
と、考えるととてつもないスケールの恋愛劇だ。 男女がキャッキャウフフしてるだけのしょうもないMVと一緒にじゃないよ。 Bring Me The Horizonらしくないラブソングにラブシーンでありながらも、Bring Me The Horizonらしいオカルトっぽさとほんの気持ち程度のグロテスク要素を混ぜ込んだ今までにない素晴らしいMV。 救急車で運ばれるオリヴァー・サイクスが腹を切り裂かれ内臓を化物の餌にされる「It Never Ends」と比べると、だいぶ人間としての理性が戻ってきたんだなと思う。
2019年4月26日にリリースされた世界の歌姫 Taylor Swift/テイラー・スウィフトの新曲「ME!」。 約1年半振りとなる彼女の新曲ということで世界中沸き立っております。 YouTubeでは投稿後24時間の再生回数もアリアナ・グランデを抜いて女性ソロアーティストでトップの記録を樹立するという話題の曲。
個人的に注目したのはフューチャリングとしてPanic! at the DiscoのBrendon Urie/ブレンドン・ユーリーを迎えていること。 言わずもがな、自分はPanic! at the Discoのファンである。 Twitchで楽しそうにゲーム実況してる世界的アーティストなんてブレンドン・ユーリーしか知らない。
そんなデスコア番長Bring Me The Horizonですが、アルバムを出す毎に大人しくなっていく兆候が見られていたんですよね。 デスコアからスクリーモへと徐々に徐々に。 だからと言ってその変化が嫌だということでもなく、気にすることもなかったんですが、2019年にリリースされた6thアルバム「amo」でさすがに突っ込まざるを得なくなった。
完全にオルタナティブ・ロックじゃないか。
いや、それも「Drown」が公開された辺りから兆候があったんだけど、ここまで偏るかと。 シャウトもデスボイスも取り除き、優しく歌うBring Me The Horizonなんて誰が想像したものか。 ただボーカルを務めるOliver Sykes(オリヴァー・サイクス)のタトゥーだけはガチ。 頭部にまで墨入ってる。
10年前にタイムスリップして暴れん坊デスコア好きに「これ、2019年に発売されたBring Me The Horizonのニューアルバムなんだけど」って聴かせたらどんな反応するのだろうか。 あまりの変貌ぶりに信じてもらえないのでは。
The Comedown
mother tongue
お分かりいただけただろうか。 同一バンドである。 かなり極端に比較曲をチョイスしたので卑怯な感じもあるが、10年でここまで変化するバンドも珍しい。 「mother tongue」は「母国語」という意味で、オリヴァー・サイクスが離婚した奥さんと、再婚した現在の奥さんへ歌った曲。 曲中に"fala amo"という歌詞が出てくるが、これは今の奥さんの母国語であるポルトガル語で「愛してる」の意。 アルバムタイトルの「amo」もここから引用されている。 そう、この曲は正真正銘ラブソングであり、アルバムタイトルも愛を冠している。 Bring Me The Horizonが愛を歌うだなんて誰が予想した。 歌ったとしても声とも言えないデスボイスとシャウトで何言ってるか分からないのがオチだろと。
ここまで違和感なく話を進めてきたが、オルタナティブ・ロックとしてのクオリティ高くないですか? デスコアバンドとしての土台がいい塩梅になり、Bring Me The Horizonらしいロックに仕上がっている。 バンドサウンドだけではなく、流行りのダンスミュージックの要素も取り入れる貪欲さも。
すっかりデスコアが体内から抜け切りオルタナティブ・ロックバンドとして生まれ変わったBring Me The Horizon。 ライブで観客に歌わせようとばかりして、肝心の自分はほとんど歌わないオリヴァー・サイクスの姿は健在だが、パフォーマンスの格好良さも相変わらず。 アルバムの聴き易さとしては邦ロック好きにもおすすめできる1枚。 この10年間での変化をあなたも感じてみてはいかがでしょうか。
聴いてもらえれば分かるであろう、変わっていないのだ。 10年前に発売された2ndアルバム「Consolers of the Lonely」から変化を感じさせない純度100%のThe Raconteursサウンド。 タイムスリップでもしたんじゃないかと疑ってしまいたくなる。 両曲ともにどこか懐かしさを感じさせるサウンド。 「Now That You're Gone」はMVを見た感じそのまま70年代辺りのモノクロ映画にマリリン・モンローを意識した女優を使ったオールディーな楽曲ですし。 新しいことなんて1つもしていないし、流行など全く無視してやりたいことをやっている。
Blushing CD (2019, Tooth & Nail Records) 1. Pope 2. Lay Here 3. As Above So Alone 4. Suddenly 5. Night Figures 6. Skywriter 7. Colorless 8. On Your Worst Day 9. Strange Flower 10. It Felt So Real 11. Waltz on Water