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よく聞かれるのだけど、PAって何してる人なの? 

他人に自分の職業を聞かれた時、皆さんは何て答えますか?
営業、販売、生産、メディア…とたくさんの職種が世の中にはあります。
だいたいは「〇〇の営業」であったり「××の販売」だったりと、さほど説明に難しくはないはずです。
無職は世間体として説明し辛いとかはあったりしますけど、それはまた別問題。


さて、音楽好きな人なら聞いたことがあるかもしれない「PA」という職。
かくいう僕もこの職で飯を食って生きています。
ライブハウスに行けばまず間違いなくいますし、フェスなんかではPA無くして成立しません。
そんなPA、何をしている人か知っていますか?



PAという職業、世間の認知度が低い問題

同級生に「今、何の仕事してるの?」って聞かれると、僕は「音響屋さん」って答えます。
だってPAと言っても伝わらないし、何だったら音響屋と言ってもだいたい伝わらない。
要約して「ライブとかイベントでスピーカーから音を出す仕事。」まで説明するとちょっと納得してくれる。
いや、怪しい仕事じゃないんですよ。


上にも書きましたが、PAはライブハウスやフェス、はたまたショッピングモールでやってるちょっとしたイベントやそこら辺で開催されてる祭等々、いたるところに生息しています。
ライブハウスの後方でたくさんの機械に囲まれて、しかめ面してる人がいれば、それです。
怒ってる訳じゃないんです、真剣に仕事してるんですよ。


では、「PA」とはどのような場合に必要となるのでしょうか。
テレビやラジオの音声さんは「PA」とは違います。
レコーディングエンジニアも「PA」ではありません。
どちらも音に関わる仕事ですが、この業界はかなり細分化されていて複雑です。


「PA」とは「Public Address」の略であり、「公衆へ伝達する」という意味です。
簡単に言うと「小さな音をスピーカーを使って大勢に伝える」です。
デパート等でのお客様呼び出しもPAですし、トラメガを使うこともPAです。
拡声装置を使って大勢に聞こえるようにすること全般をPAと呼びます。


例えば、学校の教室を思い浮かべてください。
40人程度の生徒を相手に教師は生声で授業を進めます。
この規模であれば拡声装置を必要とせずに40人の生徒へ授業の内容を伝えることが出来ます。
教師の声が小さいとか、学級崩壊しているとかだと話は別ですが。


では、この授業が4000人規模になったらどうでしょう。
教室の広さも100倍必要です。
どれだけ教師の声が大きくても、生声では4000人全員に授業の内容を伝えることは不可能です。
後方の生徒は何も聞こえず、成績が落ちること間違いなしです。
このような場合はマイクとスピーカーを使用して拡声し、全員に教師の声を届けてあげることが必要になります。
どうです?ちょっとはPAのことが分かってきましたか?



PA、実際何をしてるのか知られていない問題

さて、PAが何故必要であるかは分かってもらえたと思います。
様々な場所にPAは存在しています。
ではこれを職業としている人々は、実際何をしている人たちなの?


まずは、スピーカー等のシステムをプランニングすること。
会場の広さ/規模に適したスピーカーを選定し、充分な音量を届けることが大前提となります。
大きな会場に小さなスピーカーを持って行ったところで力不足は目に見えていますし、逆に小さな会場に大きなスピーカーを持って行っても性能をフルに発揮することは出来ません。
効率的なシステムをクライアントに提案することが必要です。
また、そのステージで使用するマイクの種類、本数を決めたり、それに対応できるミキサーも適したものを選びます。


そして、そのシステムの設営と本番のオペレート(操作)を行います。
規模が大きくなれば比例して設営にも時間がかかりますし、音の調整もシビアになります。
実際に設営してみたら起こる予想外の事態なんてのもザラにありますし、何より長時間労働で心身ともにかなり食らいます。
オペレートとは、ステージ上の音を音量・音質・様々な音のバランスを観客が聴きやすいよう整えてあげる、PA界の花形となる役割です。
音が聴きやすい、聴きにくいはオペレーターの腕(耳)に関わってきます。
仕事によっては何千人、何万人という観客が聴いている訳で、そりゃもうプレッシャーがかかりますよ。
しかめっ面にもなりますよ。


大まかにはこれを一連の流れとしてお金が発生します。
フリーランスのオペレーターだったりすると、ライブハウスに体一つで乗り込んでオペレートのみでお金をもらう場合もあったりします。



PA業界、辛いこと多い問題

「有名人と会えて羨ましい」とか「無料でライブ観れて羨ましい」とかよく言われますが、バカ言ってんじゃないよ。
辛いことばかりなんだよ、この業界。


まず給料が安い
専門学校を卒業して、新卒でもらえる初任給がだいたい十数万円くらいです。
ちなみに僕は社会人1年目手取り13万円でした。
思い出すだけで泣けてくる。
今でこそだいぶ良くはなりましたが、それでも世間からしたら低い給料ではあります。
同じ年齢の友人の話とか聞いていると、悲しくなりますよ。


そして労働時間が長く、心身共にキツい
朝から夜まで行われるイベントってだけで、平気で10時間労働は超えてきます。
とある噂だと27時間労働があったなんていう意味不明なこともあったりします。
しかもその間は重い機材であったり運んだりと身体を酷使し続けてます。
休日もなかなか取れなかったりします。
この業界、今だに体育会系な縦社会が残っていて、先輩の言うことは絶対ですし、ミスをすれば怒鳴られ殴られが日常で起きます。
この前、若い子が先輩にボロカス言われ殴られ、さらに俯いていく光景を見て怖い世界だなと改めて思いました。


給料も安いし、心身共に辛い生活が続けばだいたいの人はこの業界から離れていきます。
そう、慢性的な人手不足です。
志望してくる人は多いのですが、それ以上に辞めていく人が多い。
そりゃそうだよね、工場のラインをこなしていけば良い給料もらえるんだったら、そっちのほうが明るい人生が見えてくるよね。



それでもPA続ける理由

辛いことばかりが表に出てきやすいこの業界ですが、続ける理由もあります。
1つのライブ・イベントをやりきった達成感は癖になります。
俗に言う、やりがいです。
それは会場の規模が大きくなればなるほど、やりがいも大きくなります。
オペレートに就けば、分かると思います。


後は、大きな音を出すのが気持ちいい。
大音量フェチ。
非日常的な大音量を聴く側ではなく、出す側というのもなかなか経験出来ないです。
その音で観客が盛り上がってる様子なんか見たら、この業界もう辞められないですよ。



なんて長々と「PA」について書きましたが、この職業について理解してもらえたでしょうか?
とにかく認知度が低いこの業種ですが、こんな世界があるということも知ってもらえたら嬉しいです。
この記事を読んで「PAさんって、意外と大変なんだな…」と感じたら、機会があれば優しく接してあげてください。
だいたいの人は音楽だったり舞台が好きでこの仕事をやっているので、話が合うと思います。
あと、アンケート等の職業欄には「会社員/サービス業」と僕は回答しています。
なかなかいい答えが見つからないですよね。



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( 2018/10/03 00:57 ) Category コラム | TB(0) | CM(0)
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